2019年12月06日

『津軽のカマリ』:津軽の土と雪と風の匂い馥郁と

データ
『津軽のカマリ』

評価:☆☆☆☆☆☆☆・・・
年度:2018年
鑑賞:2019年12月3日、田辺市中辺路「ふたかわ超学校」上映会で鑑賞。
監督:大西功一
出演:初代高橋竹山 二代目 高橋竹山 高橋哲子 西川洋子 八戸竹清 高橋栄山 
   初代 須藤雲栄 高橋竹童
製作国:日本
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『津軽のカマリ』:津軽の土と雪と風の匂い馥郁と

公式サイトより


コメント

熊野中辺路”ふたかわ超学校”で、ドキュメント映画『津軽のカマリ』観てきました。

どんな芸能・芸術の世界でも、常人の階層を突き抜けた別格な人はいるもので、津軽三味線における高橋竹山さん(初代)もそんな一人でしょう。
(監督も同じようなことをおっしゃってました。例として美空ひばりさんを挙げておられたのが印象的でした。だって私もそう考えていましたもの。)

竹山さんは風や鳥と話ができる人です。(安東ウメ子さんや朝崎郁恵さんを想起します。)盲目ゆえ飢えやひどい差別やいじめを受けながら、「貧乏から学んだ」という人です。絶対”ヘンコ”です。

彼の生前、東京の渋谷ジァン・ジァンで時々ライブがありました。関西に戻ってから竹山さんを知り、行けないかと試みて諦めたことが何度かあります。一度は生の演奏を聴きたかったと悔やむアーチストの一人でした。CDもいいけれど、やはり三味線はライブでこそ、と思っています。
今日の映画には、ライブ感あふれる映像がいくつも含まれていましたので、私の悔いが一つ解消された思いです。

知らないエピソードがたくさんありました。沖縄戦への思い、三陸大津波との関わり、朝鮮人に命を救われたこと、、、
本作はそこに加えて津軽の民謡、オシラサマ信仰、イタコ、ねぶた祭りなどを重ねます。そうすることで竹山三味線が生まれた背景、津軽のカマリ(匂い)を探ろうとする監督の仕掛けでした。それがまあ私の好物ばかり(笑)これに縄文土偶・土器とアイヌ が加われば、もう私にとっての東北文化の完成!
あ、しかし食べものが含まれていませんね。そういえば本作でも食べ物の話題がなかったような。なぜかな。

二代目高橋竹山さんもたっぷり登場。空気を切り裂き大地を鳴らすような先代と比べて音がカラフルで艶っぽいのが面白いと思いました。高橋竹山という名称を真に継ぐことができるのは、自立した自分の豊かでオリジナルな三味線の音色を創り上げた時なのだともわかりました。

鑑賞中に何度か涙が滲みました。その場面を書き、多少の考察をすることはできますが、やめておきます。これから鑑賞される方を妨害することは許されない映画のように思えますので。
大西功一監督は自分の車に機材を載せて全国行脚中です。昨日は紀伊勝浦、明日は和歌山市。じわじわと西に進んで二月の沖縄で折り返すそうです。今日もご本人のトーク付きでした。機会があれば、伝統音楽好き、三味線好き、民俗好きの方にはぜひ!とおすすめしてこの稿を終えます。
監督、ふたかわ超学校のみなさん、ありがとうございました。


そうそう、DVDの特典映像?中で二代目高橋竹山さんが登場する”アンコール曲”はしみじみといいですよ。と、小さな宣伝だけをしておきますね。




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