2019年05月30日

『じゃりン子チエ』:明日は明日の太陽がピカピカやねん

データ
『じゃりン子チエ』

評価:☆☆☆☆☆☆・・・・
年度:1981年
鑑賞:2019年BS/CSで視聴。
監督:高畑勲
原作:はるき悦巳『じゃりン子チエ』
声優:中山千夏(チエ) 西川のりお(テツ) 三林京子(ヨシ江) 京唄子(おバァ) 鳳啓助(おジィ)
   西川きよし(小鉄) 横山やすし(アントニオ・ジュニア) 上方よしお(ミツル) 芦屋雁之助(社長)
   笑福亭仁鶴(花井拳骨) 桂三枝(花井先生) 島田紳助(マサル) 松本竜介(シゲオ)
   ザ・ぼんち オール阪神 オール巨人
製作国:日本

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『じゃりン子チエ』:明日は明日の太陽がピカピカやねん

https://www.videomarket.jp/title/187122/sA187122001999H01

コメント

原作漫画『じゃりン子チエ』(はるき悦巳作)は漫画アクションで197810.12号から1997.8.19号まで連載された長寿漫画です。
私は愛読者でした。

シンプルにコメントすると、原作漫画やTVアニメをご存じない方にはおすすめしたいアニメです。
なぜなら、原作の持つ、いえdeepな大阪の街がかもし出す愛らしさが本作で十分に表現されているからです。
そしてその愛らしさは、私たちすべての日本列島庶民(≠日本人)が作り上げた生活や社会の匂いと同じだからです。
大阪、中でも本作の舞台西成区は極端な例であるにすぎません。

一方、傑作原作漫画の愛読者や名作TVアニメを愛した人にとっては、わざわざどうしても観なければならない映画とは言えません。原作には膨大な登場人物による膨大なエピソードがあります。その分だけ笑いや哀感があるのは当然です。ところが本作は110分の中に絞り込むため、チエとテツととヨシ江、つまり家族に的を絞って描かれているからです。(ただ、よく知っているエピソードを、家族中心にまとめるとどうなるのか、その興味で鑑賞されるのはアリだと思います。)

また、原作漫画の魅力の一つは、はるき悦巳さんの描く線の魅力だと思います。専門的なことはわかりませんが、はるきさんの線は単純ではありません。そういう複雑な線で描かれた漫画は、初めからペーソスが漂っています。これはあくまで私の主観ですが、たぶん共感してくださる方は多いと思います。アニメ化するとどうしても線はシンプルになり、その分哀愁は減じます。

とはいえともあれ、本作がとてもよくできた劇場版アニメであることは疑えません。さすが高畑さんと申し上げるべきでしょう。

最後に、声優のラインアップについて一言申し述べます。
特筆すべき声優は、中山千夏さん・芦屋雁之助さん・笑福亭仁鶴さん・京唄子さん。中でも演じ分けが必要な役所に中山千夏さんと芦屋雁之助さんという達人を配したことが成功の大きな一因でした。
西川のりおさんは決して上手ではありませんが、一本調子なテツにはこの声しかありえなかったように今は思います。
個人的に残念なのは、コテツ・ジュニアの猫の声と、マサルやシゲルのような子供の声におっさんくさい声を配したところ。
原作の愛読者には、脳内で登場人物の声がすでに響いていましたから。




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Posted by gadogadojp at 10:00│Comments(0)アニメ映画
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