2020年02月24日
『地上より永遠に』叶わぬ恋を表す題名ではなかった
データ
『地上より永遠に』ここより永遠に、 From Here to Eternity
評価:☆☆☆☆☆☆・・・・
年度:1953年
鑑賞:ビデオ、DVDで鑑賞。2020年BS/CSで再視聴。
監督:フレッド・ジンネマン
原作:ジェームズ・ジョーンズ
俳優:バート・ランカスター モンゴメリー・クリフト デボラ・カー フランク・シナトラ ドナ・リード アーネスト・ボーグナイン フィリップ・オーバー
製作国:アメリカ
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コメント、批評
二度目の鑑賞で私の評価はずいぶん上がりました。
男性俳優は好演しています。
けれど女性俳優の演技や輝きはもう一歩というところ。
デボラ・カーさんの独特の表情は魅力的ですが、真珠湾攻撃によってなすすべもなく客船に乗ってハワイに別れを告げるラストは、哀切ですが無力すぎる印象です。
原作者はジェームズ・ジョーンズさん。真珠湾攻撃を目撃し、のちに本作や『シン・レッド・ライン』(1998、テレンス・マリック監督、佳作)の原作となる作品を書いた小説家です。そして本作の題名は、英国のラドヤード・キップリングさんという小説家・詩人の詩から採られています。邦訳では”ここよりとわに”と読ませます。一部をwikipediaから引用しますと、
上流出身の兵士は浮かれ騒ぐ、
地上より永遠に呪われたる、
われらごとき兵士に憐れみをたれたまえ、
(新庄哲夫訳『地上より永遠に』角川文庫より)
最初の鑑賞時、本作のテーマは若い私にはわかり難いものでした。というのも、ウォーデン曹長(バート・ランカスターさん)とカレン(デボラ・カーさん)の有名なハワイの砂浜での不倫ラブシーン、プルーイット(モンゴメリー・クリフトさん)とロリーン(ドナ・リードさん)の兵卒と慰安婦との恋、という二組のカップルの恋愛模様に少し辟易としたからです。私はただの恋愛映画に関心がありません。
けれど今回機会があってもう一度観ようと考えた理由は、先日ジンネマン監督の『日曜日には鼠を殺せ』に感じ入ったことがきっかけで、若い私には本作を理解できる力がなかったのではないかと考えたことが一つです。もう一つは、傑作『ゴッドファーザー』(1972 コッポラ監督)のあのエピソードの元になった本作のフランク・シナトラさんの演技を見直したくなったからです。あのエピソードとは、ヴィトー・コルレオーネがゴッドサンのジョニーを映画に出演させるために、それを拒んでいた映画会社の社長?の愛馬の首を切り落とさせた事件のことです。その脅しが効いて、ジョニーは念願の役にありつきました。本作のフランク・シナトラさんも、首尾よくアカデミー助演男優賞に輝き、スランプを脱したのでした。
脇道に逸れましたので話を戻します。
今回あらためて本作を鑑賞しますと、恋愛映画の要素も色濃く持ちながら、その底にキップリングの詩に明白に窺える下積み兵士にかけられた呪い、いや階層差別がドンと居座っていることにようやく気がついたのでした。その悲哀に満ちた下層兵士を演じるのが超二枚目モンゴメリー・クリフトさんとイケボイスのフランク・シナトラさんだということが、ジンネマン監督や製作陣の策略なんですね。
少し持って回ったこの手法ゆえに、私にとって大好きな映画にはなりませんが、映画史の中で一定の位置を占めることになった作品であることには疑う余地がなさそうです、と私も持って回った文を書いて、本稿を終えます。
『地上より永遠に』ここより永遠に、 From Here to Eternity
評価:☆☆☆☆☆☆・・・・
年度:1953年
鑑賞:ビデオ、DVDで鑑賞。2020年BS/CSで再視聴。
監督:フレッド・ジンネマン
原作:ジェームズ・ジョーンズ
俳優:バート・ランカスター モンゴメリー・クリフト デボラ・カー フランク・シナトラ ドナ・リード アーネスト・ボーグナイン フィリップ・オーバー
製作国:アメリカ
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コメント、批評
二度目の鑑賞で私の評価はずいぶん上がりました。
男性俳優は好演しています。
けれど女性俳優の演技や輝きはもう一歩というところ。
デボラ・カーさんの独特の表情は魅力的ですが、真珠湾攻撃によってなすすべもなく客船に乗ってハワイに別れを告げるラストは、哀切ですが無力すぎる印象です。
原作者はジェームズ・ジョーンズさん。真珠湾攻撃を目撃し、のちに本作や『シン・レッド・ライン』(1998、テレンス・マリック監督、佳作)の原作となる作品を書いた小説家です。そして本作の題名は、英国のラドヤード・キップリングさんという小説家・詩人の詩から採られています。邦訳では”ここよりとわに”と読ませます。一部をwikipediaから引用しますと、
上流出身の兵士は浮かれ騒ぐ、
地上より永遠に呪われたる、
われらごとき兵士に憐れみをたれたまえ、
(新庄哲夫訳『地上より永遠に』角川文庫より)
最初の鑑賞時、本作のテーマは若い私にはわかり難いものでした。というのも、ウォーデン曹長(バート・ランカスターさん)とカレン(デボラ・カーさん)の有名なハワイの砂浜での不倫ラブシーン、プルーイット(モンゴメリー・クリフトさん)とロリーン(ドナ・リードさん)の兵卒と慰安婦との恋、という二組のカップルの恋愛模様に少し辟易としたからです。私はただの恋愛映画に関心がありません。
けれど今回機会があってもう一度観ようと考えた理由は、先日ジンネマン監督の『日曜日には鼠を殺せ』に感じ入ったことがきっかけで、若い私には本作を理解できる力がなかったのではないかと考えたことが一つです。もう一つは、傑作『ゴッドファーザー』(1972 コッポラ監督)のあのエピソードの元になった本作のフランク・シナトラさんの演技を見直したくなったからです。あのエピソードとは、ヴィトー・コルレオーネがゴッドサンのジョニーを映画に出演させるために、それを拒んでいた映画会社の社長?の愛馬の首を切り落とさせた事件のことです。その脅しが効いて、ジョニーは念願の役にありつきました。本作のフランク・シナトラさんも、首尾よくアカデミー助演男優賞に輝き、スランプを脱したのでした。
脇道に逸れましたので話を戻します。
今回あらためて本作を鑑賞しますと、恋愛映画の要素も色濃く持ちながら、その底にキップリングの詩に明白に窺える下積み兵士にかけられた呪い、いや階層差別がドンと居座っていることにようやく気がついたのでした。その悲哀に満ちた下層兵士を演じるのが超二枚目モンゴメリー・クリフトさんとイケボイスのフランク・シナトラさんだということが、ジンネマン監督や製作陣の策略なんですね。
少し持って回ったこの手法ゆえに、私にとって大好きな映画にはなりませんが、映画史の中で一定の位置を占めることになった作品であることには疑う余地がなさそうです、と私も持って回った文を書いて、本稿を終えます。
Posted by gadogadojp at 10:00│Comments(0)
│映画
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