2020年01月14日

『女囚701号さそり』:こんな映画やったんや

データ
『女囚701号さそり』

評価:☆☆☆☆☆☆・・・・
年度:1972年
鑑賞:2020年BS/CSで視聴。
監督:伊藤俊也
原作:篠原とおる(劇画「さそり」)
俳優:梶芽衣子(松島ナミ) 扇ひろ子 渡辺やよい 横山リエ 三原葉子 
   夏八木勲 渡辺文雄 室田日出男 沼田曜一
製作国:日本
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『女囚701号さそり』:こんな映画やったんや

予告編より(東映)


コメント、批評

こんなはっちゃけた映画だとは思わなかった、と妻。
前衛的な、あるいはカルト的な、と驚く私。
任侠映画チックな作品だろうと長い間思い込んでいた私は馬鹿。

回想のレイプ場面がガラスの床の上、そして芝居の回転大道具のように回ってコンパクトに状況説明。書き割りの夕映に稲光。ガラスが右目に刺さっても痛がらず犯人の首を締める刑務所所長。ホラー映画のような形相の女囚。かっこ良すぎる主人公のファッション。

確かに女性の裸身は次々と登場するし、男たちはすぐに女性の衣服を脱がす。
とても凌辱的でとても下品な連中ばかり。

ところが本作のその裏側にはしたたかな企みが隠されている。
1972年、女たちがようやくNOを言えるようになったその頃、長年の男どもの暴虐への女の反乱が始まる。
その先駆者への賛美。
そしてその暴虐の背後にある日本という国家のしくみを透けて見せる。
君が代と日の丸に始まり、日の丸に投げつけられたナイフで終わるのはよもや偶然ではなかろう。

梶芽衣子さんの存在感が素晴らしい。
松島ナミの行動は復讐を超えて独り立ちの孤狼のおもむき。

他の出演者も皆熱演だが、特に悪役片桐役の横山リエさんの演技が光る。
星は6個だが映画好きには必見の作品。
タランティーノさんが影響を受けた作品(→『キル・ビル』だけのことはある。
園子温さんがオマージュする作品(→『愛のむきだし』だけのことはある。


『女囚701号さそり』:こんな映画やったんや

予告編より(東映)


『女囚701号さそり』:こんな映画やったんや

篠原とおるさんの漫画は、本作の原作「さそり」と後年の「0課の女」は少なくとも読んでいます。女性が主人公としてヒーロー的に活躍するアクション漫画は彼から始まると言って良い重要な漫画家です。本作と違って過剰な流血・過剰な性描写は(初期を除いて)少ないです。セクシーではありますが。

批評



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Posted by gadogadojp at 10:00│Comments(0)映画
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