2020年02月22日
『ほえる犬は噛まない』:ポン・ジュノさん初の劇場映画
データ
『ほえる犬は噛まない』Barking dogs never bite、플란다스의 개(フランダースの犬)
評価:☆☆☆☆☆☆・・・・
年度:2000年
鑑賞:2020年BS/CSで視聴。
監督:ポン・ジュノ=奉俊昊
俳優:ぺ・ドゥナ=裵斗娜=배두나(パク・ヒョンナム) イ・ソンジェ(コ・ユンジュ)
コ・スヒ(ユン・チャンミ、チャンミの友人) ピョン・ヒボン(ピョン警備員) キム・レハ(ホームレス)
キム・ホジョン(ユンジュの妻) キム・ジング(犬を飼う婆さん)
製作国:韓国
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コメント
Barking dogs never bite.吠えるだけで何もできないやつ。って感じの英語の言い回し。そうか、じゃあそういう登場人物が出てくるのかと思いきや、そうでもなく、はて?と原題を見ると플란다스의 개。フランダースの犬。なんやそれ、ますますわからへん、と楽しくなる映画です。はい、楽しいのです。
とある団地で犬が連続失踪するのです。その団地に住む、教授になりたいが何もできない冴えない院生?がコ・ユンジュ(イ・ソンジェさん)。その団地の管理事務所で働く少しお間抜けだが正義感と有名人になりたい欲の強い女性がパク・ヒョンナム(ぺ・ドゥナさん)。二人主演の映画です。
人間にとって犬とはなんでしょう。ペット?パートナー?ガードマン?労働力?それとも食べ物?
〜全部正解ですよね、現代では。
そのあたりの人によるズレがおもしろいコメディーと考えて良いのでしょう。あちこちに皮肉・アイロニーが散りばめられていて、『パラサイト』を思い出しました。
ポン・ジュノさん初の劇場映画という期待を持って観ましたが、なかなか意外な展開もあり、これまた『パラサイト』を思わせる社会的シーンもあり、でとても楽しめました。監督は最初からアイデアとセンスがあったのですね。特に動物愛護にセンシティブな方以外にはおすすめできます。
個人的には、ピョン・ヒボンさんの素晴らしい芸を堪能しました。彼はあの傑作『グエムル』でお父さん役で重要な役どころを演じていました。いや、作品製作順では本作が先ですが。そして、ぺ・ドゥナさんファンの私としては、二十歳そこそこの彼女が軽快に主役をこなしていたのでそれも嬉しい映画でした。
批評
犬食文化はもともと世界中に広がっていた習慣でした。ヒトが狩られるイキモノから狩るイキモノへと変身した頃から始まったと考えられます。狼をとらえて飼育し、イヌへと変化させていく目的は、狩猟や牧畜の”仲間”やソリを牽く労働力としてだけではなかったでしょう。まして”ペット”にして可愛がるために危険を犯して捕らえた狼に餌をあげていたわけはありますまい。日頃はとても役に立つ家畜であったし、慰められることも多かったでしょうが、老犬になったりケガをしたり不意の客人が訪れたりすれば、ためらいなく撲殺されて喰われていたはずです。少なくとも予備食料として。
その後の人類の文化は多様化し、犬食に関しても濃淡さまざまな発展を遂げました。現代では英国とイスラム圏を中心に嫌犬食文化が広がっていますが、今なお世界では年間二千万頭以上の犬が食べられているとされます。日本列島でも縄文時代には「愛され且つ食べられ」たと考えられる事例がいくつも見つかっていますし、古代・中世・近世、そして近代まで食料としての需要は連綿と続いていました。私たち個人が犬を食べることに嫌悪するのは勝手ですが、犬を食べる他人や文化を下劣と見るのは一種の差別であり、反知性のあらわれに他なりません。
私自身は積極的に犬を食べませんし、入手も困難な現代日本に暮らしています。ですが、ベトナムや中国、韓国では何の躊躇いもなくありがたくいただきました。特にベトナムでの犬の鍋はとても美味で、体を芯から温めてくれました。日本においてブタをペットとして飼う人もいるし食べる人もいることと同じでしょう。こういう考え方に納得がいかない方は、wikipediaの「犬食文化」の項目を一読ください。詳しい事情が書かれてあります。ただし、掲載された写真は見る人によっては耐えられないグロテスクなものと思えるでしょうからご注意ください。
『ほえる犬は噛まない』Barking dogs never bite、플란다스의 개(フランダースの犬)
評価:☆☆☆☆☆☆・・・・
年度:2000年
鑑賞:2020年BS/CSで視聴。
監督:ポン・ジュノ=奉俊昊
俳優:ぺ・ドゥナ=裵斗娜=배두나(パク・ヒョンナム) イ・ソンジェ(コ・ユンジュ)
コ・スヒ(ユン・チャンミ、チャンミの友人) ピョン・ヒボン(ピョン警備員) キム・レハ(ホームレス)
キム・ホジョン(ユンジュの妻) キム・ジング(犬を飼う婆さん)
製作国:韓国
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Barking dogs never bite.吠えるだけで何もできないやつ。って感じの英語の言い回し。そうか、じゃあそういう登場人物が出てくるのかと思いきや、そうでもなく、はて?と原題を見ると플란다스의 개。フランダースの犬。なんやそれ、ますますわからへん、と楽しくなる映画です。はい、楽しいのです。
とある団地で犬が連続失踪するのです。その団地に住む、教授になりたいが何もできない冴えない院生?がコ・ユンジュ(イ・ソンジェさん)。その団地の管理事務所で働く少しお間抜けだが正義感と有名人になりたい欲の強い女性がパク・ヒョンナム(ぺ・ドゥナさん)。二人主演の映画です。
人間にとって犬とはなんでしょう。ペット?パートナー?ガードマン?労働力?それとも食べ物?
〜全部正解ですよね、現代では。
そのあたりの人によるズレがおもしろいコメディーと考えて良いのでしょう。あちこちに皮肉・アイロニーが散りばめられていて、『パラサイト』を思い出しました。
ポン・ジュノさん初の劇場映画という期待を持って観ましたが、なかなか意外な展開もあり、これまた『パラサイト』を思わせる社会的シーンもあり、でとても楽しめました。監督は最初からアイデアとセンスがあったのですね。特に動物愛護にセンシティブな方以外にはおすすめできます。
個人的には、ピョン・ヒボンさんの素晴らしい芸を堪能しました。彼はあの傑作『グエムル』でお父さん役で重要な役どころを演じていました。いや、作品製作順では本作が先ですが。そして、ぺ・ドゥナさんファンの私としては、二十歳そこそこの彼女が軽快に主役をこなしていたのでそれも嬉しい映画でした。
批評
犬食文化はもともと世界中に広がっていた習慣でした。ヒトが狩られるイキモノから狩るイキモノへと変身した頃から始まったと考えられます。狼をとらえて飼育し、イヌへと変化させていく目的は、狩猟や牧畜の”仲間”やソリを牽く労働力としてだけではなかったでしょう。まして”ペット”にして可愛がるために危険を犯して捕らえた狼に餌をあげていたわけはありますまい。日頃はとても役に立つ家畜であったし、慰められることも多かったでしょうが、老犬になったりケガをしたり不意の客人が訪れたりすれば、ためらいなく撲殺されて喰われていたはずです。少なくとも予備食料として。
その後の人類の文化は多様化し、犬食に関しても濃淡さまざまな発展を遂げました。現代では英国とイスラム圏を中心に嫌犬食文化が広がっていますが、今なお世界では年間二千万頭以上の犬が食べられているとされます。日本列島でも縄文時代には「愛され且つ食べられ」たと考えられる事例がいくつも見つかっていますし、古代・中世・近世、そして近代まで食料としての需要は連綿と続いていました。私たち個人が犬を食べることに嫌悪するのは勝手ですが、犬を食べる他人や文化を下劣と見るのは一種の差別であり、反知性のあらわれに他なりません。
私自身は積極的に犬を食べませんし、入手も困難な現代日本に暮らしています。ですが、ベトナムや中国、韓国では何の躊躇いもなくありがたくいただきました。特にベトナムでの犬の鍋はとても美味で、体を芯から温めてくれました。日本においてブタをペットとして飼う人もいるし食べる人もいることと同じでしょう。こういう考え方に納得がいかない方は、wikipediaの「犬食文化」の項目を一読ください。詳しい事情が書かれてあります。ただし、掲載された写真は見る人によっては耐えられないグロテスクなものと思えるでしょうからご注意ください。
Posted by gadogadojp at 10:00│Comments(0)
│映画
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