2019年05月18日

『主戦場』:討論のお手本

データ
『主戦場』
SHUSENJO: THE MAIN BATTLEGROUND OF THE COMFORT WOMEN ISSUE
評価:☆☆☆☆☆☆☆☆・・
年度:2018年
鑑賞:封切り時にスクリーンで鑑賞。
監督:ミキ・デザキ Miki Dezaki
製作国:アメリカ
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『主戦場』:討論のお手本




コメント

大阪十三の「七藝」で観たのですが、日曜日とはいえこのような硬派なドキュメンタリーとしては異例の立見客がおおぜい居ました。
上映回数も1回から2回に増えていました。


ドキュメンタリー映画の秀作です。
米国人監督の立ち位置はもちろん明確ですが、しかし、
スリリングで論理的で啓蒙的で公正な映像作品です。
いわゆる「慰安婦問題」の争点・論点を整理し、両論併記の形で模擬討論を行う趣向です。

少なくとも慰安婦問題に良い落着をみるまでの期間は、日本の高校での必修教材にすればどうでしょう。
おまけに文科省が進めたがっている討論授業の良いお手本になりますよ。

絶賛公開中ですので、今の時点で内容について書くのはやめておきます。(後日補筆するつもりです。)

ただ一つだけアドバイスさせていただければ、
自分の論理や自説の根拠に自信がないときの人の表情がよくわかりますから、そのあたりに注目をなさってください。
論理的で客観的な学問的手法で真実を追求している人と、初めから自分に都合のいい結論にしがみついていて、そのために屁理屈を唱えている人との差があからさまにわかります。
そのため、たとえ慰安婦問題に関心が持てなくても、映画が好きで役者の演技を見慣れている人にはとても面白く、かつまた勉強になるはずです。

ドキュメンタリー映画の新しい魅力を見つけた気がしました。


コメント2

実は、本作を観る前日、偶然に「従軍慰安婦」を題材にした演劇を鑑賞したところでした。
きむきがんさんの一人芝居『キャラメル』(劇団石)です。
素晴らしい出来栄えでしたが、それは別に記事にしたいと思います。

大阪で宿泊したのは、コリアタウン近くのゲストハウス。
何だか朝鮮にどっぷり浸かった二日間でした。


なお、批評を書くことは本作の内容に触れることになりますので、今は控えておきます。

ただ、批評ではなく単なる述懐を一言。
数十年前は「強制連行」や「性奴隷」か否か、などが争点になるどころか、
慰安所の存在自体がなかなか認知されなかったのでした。

水木しげるさんの漫画を伝えたり、中曽根元首相の軍人時代の記録を見せたりしながら、慰安所は実在したのだよ、と言うのが一般人の私にはせいぜいのことでした。
恥部なんでしょうね、大日本帝国を美化したい人たちには。



戸川純さんが『極東慰安唱歌』を発表したのは1985年のことでした。
参考まで。



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