2019年09月22日

『はじめてのおもてなし』:”たあいないコメディー”を越える

データ
『はじめてのおもてなし』
WILLKOMMEN BEI DEN HARTMANNS 、WELCOME TO GERMANY
評価:☆☆☆☆☆☆・・・・
年度:2018年
鑑賞:2019年BS/CSで視聴。
監督:サイモン・バーホーベン
俳優:センタ・バーガー(妻)、ハイナー・ラウターバッハ(夫)、
フロリアン・ダーヴィト・フィッツ(息子)、パリーナ・ロジンスキ(娘)
エリヤス・エンバレク(タレク医師)、エリック・カボンゴ(ディアロ)
ウルリケ・クリーナー
製作国:ドイツ
kinenoteの情報ページはこちら


『はじめてのおもてなし』:”たあいないコメディー”を越える

予告編より


コメント

ご都合主義なところもあるけれど、(学校の)人権映画で見せるといい、と妻は言いました。
結果的にはハートフルなコメディですから肩肘張らずに鑑賞できます。
一方、ほのめかされる状況はシリアスでリアルですから、ヨーロッパにおける難民問題を知るには格好の題材になりましょう。
観客によっては、民族とは?国家とは?何かを考えるきっかけになるかもしれません。
わたしの☆は6個ですけれど、お薦めできる作品です。

コンゴ系ベルギー人のエリック・カボンゴさんがドイツ亡命を希望するチュニジア難民を演じます。
チュニジア系オーストリア人のエリヤス・エンバレクさんが移民二世の医師を演じます。

二人を含め、俳優陣のしっかりした芸(演技力)に支えられ、不安なく最後まで見る事ができます。
なかでわたしは、息子役のフロリアン・ダーヴィト・フィッツさんのコメディアンぶりに感嘆しました。

カボンゴさん演じるディアロを家庭に受け入れることによって起こる事件や家族の変化が題材なのですが、監督がこれを軽々と表現した手腕はなかなかのものかと思います。



批評

公式HPに書かれたバーホーベン監督の文章の一部を引用します。

「脚本を書き、監督もしている中で、私は遊び心満載にリラックスして、政治的には正しくないような見方でアプローチしようとしました。そして最後の最後まで、世の中で起こった現実の出来事を作品に取り込もうとしました。また、何事においても深刻には受け止めすぎないようにしました。なぜなら、「難民問題」の複雑さについて考えたときに、どんな映画でもコメディはもちろんのこと、すべての人々の政治観を満足させることはできないし、同様にすべての感受性を考慮することもできないからです。

ドイツ、そしてヨーロッパは、今、私が生まれてこのかた経験したことがないほど激変しています。皆が将来の展望について議論し、模索し、そして適応しようとしているのです。しかし、この混沌とした、不確かな、落ち着きのない状況はまた、コメディにとっては肥沃な土壌となるのです。」


難民受け入れ問題をきっかけに、ドイツは、ヨーロッパは変わろうとしています。
変わった後のヨーロッパはさらにオトナになっていることでしょう。

ひるがえってわが日本は、
我が事として世界人類の直面する悲劇を捉えられない日本人は、
この先もますますコドモの暮らす国として、
次第に世界から取り残されていくでしょう。
このままでは。



同じカテゴリー(映画)の記事

Posted by gadogadojp at 10:00│Comments(0)映画
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。