2018年10月08日

『オデッサ・ファイル』

データ
『オデッサ・ファイル』

評価:☆☆☆☆☆☆・・・・
年度:1975年
鑑賞:封切り時にスクリーンで鑑賞。2018年BS/CSで再視聴。
監督:ロナルド・ニーム
原作:フレデリック・フォーサイス
俳優:ジョン・ヴォイト(ピーター・ミラー) マクシミリアン・シェル(ロシュマン) マリア・シェル 
   マリー・タム ノエル・ウィルマン デレク・ジャコビ ピーター・ジェフリー
製作国:イギリス映画、ドイツ映画(当時は西ドイツ)
allcinemaの情報ページはこちら


『オデッサ・ファイル』




コメント

原作者フレデリック・フォーサイスはイギリスの作家で、1970年代にベストセラーを連発しました。
今回彼の著作リストを眺めると、「ジャッカルの日」「オデッサ・ファイル」「戦争の犬たち」など7作品を読んでいました。
ノンフィクションルポである「ビアフラ物語 飢えと血と死の淵から」を除き、テンポの良いミステリーサスペンスで退屈させません。
世界の現実もよく取り入れられています。
本作公開の一年前に映画化・公開された『ジャッカルの日』(フレッド・ジンネマン監督)では、原作に負けない緊張感と面白さに感じ入りましたので、柳の下の泥鰌を狙って映画館に足を運んだのでした。

その結果は、う〜ん、少々大味だなあ、と思いました。
原作で、主人公ピーターがナチスSSの生き残り組織オデッサ(Organisation Der Ehemaligen SS-Angehorigen)への潜入を試みる際のあの胃袋がキューっとするような緊迫感は感じられないなあ、と。
1970年代の私は、ナチズム批判の勉強を少しばかりしていた頃ですので、少し映画が甘く感じられたのです。

今回見直して見ると、やはりその当時の印象は拭えませんでした。
けれど、その後のドイツにおけるネオナチなど欧州の極右勢力の台頭や、ナチスを見習えとまで公言する日本の麻生太郎や日本会議の面々の言動を見聞きするにつけ、70年代は戦争の体験が残っていた分だけ、世界がまだリベラルだったのかな、と妙な感想を持ちました。
そういう意味では、現状はもはや本作のような娯楽映画にてファシズムを扱える時代ではなくなったのかもしれません。


ジョン・ヴォイトさん、(当時は)『真夜中のカーボーイ』以来の対面でしたが、意外に人間臭さのある好演でした。
マクシミリアン・シェルさんは、リガ収容所の元所長ロシュマン役。素晴らしい。
マリー・タムさん、ピーターの恋人役。いえエンドクレジットにはミラー夫人と書かれていました。演技力はともかく、とにかく可愛い。


というわけで、当時の世相も少し把握できます。
必見とは申しませんが、一度ご覧になってはいかがですか、の映画です。
オチもあります。
ただ、ヒトラーやナチスによるユダヤ人虐殺についての最低限の知識だけは持って観てください。


なお、(西)ドイツロケを徹底していますが、残念ながらセリフは全編英語です。



『オデッサ・ファイル』

マリー・タムさん。出典不詳です。支障がありましたら連絡を。



同じカテゴリー(映画)の記事

Posted by gadogadojp at 10:00│Comments(0)映画
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。