2018年09月28日

『恋しくて』

データ
『恋しくて』

評価:☆☆☆☆・・・・・・
年度:2007年
鑑賞:封切り時にスクリーンで鑑賞。
監督:中江裕司
主題歌:BEGIN『ミーファイユー』
俳優:石田法嗣 東里翔斗 宜保秀明 大嶺健一 山入端佳美 与世山澄子 平良とみ 
   三宅裕司 BEGIN 登川誠仁(牛の声)
製作国:日本
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本作稿は在庫一掃私の鑑賞記録(ログ付け)のための記事の一環です。昔書いたままの文章、短か過ぎるコメントや古い記憶に基づく記述の場合もありますのでご了承ください。再見の機会があれば、補足修正する可能性が高いです。

『恋しくて』パンフレットより


コメント

那覇桜坂劇場を文化発信の地に育て上げた中江さんの功績は偉大というべきです。
その中江さんが監督として創り上げた本作は、BEGINのデビュー曲『恋しくて』をモチーフに、石垣島の若者の青春物語を採り上げます。
BGINの三人のメンバーの青春と微妙に重ね合わせながら。

とはいえ、この青春ドラマはあまりにシンプルで、心理に分け入る深さがありません。
社会性も、沖縄の風土の匂いも感じられません。
なぜ作ったのかな、と思う作品です。

ただし、石垣島もBEGINも大好きな私は、映画の内容とは別のところで楽しませていただいたことは事実です。




批評欄の文章は、本作を鑑賞した直後の文章です。(わずかに修正)


批評

中江作品は、『ナビィの恋』『ホテル・ハイビスカス』『白百合クラブ 東京へ行く』に続いて本作が四作目の鑑賞となります。
その後、『さんかく山のマジルー 真夏の夜の夢』も観ました。
すべて沖縄が主たる舞台になっています。
どの作品も、ウチナー(沖縄)、ヤイマ(八重山)の自然が、人間が、観客の目の前に存在し動いているような親近感と美しさと力強さが漂っています。
大気の熱さも感じます。
登場人物が素敵です。

でも私には、ウチナー、ヤイマのあの空気に含まれた猥雑な匂い、色っぽいとも言える香りが、だんだん薄れてきているような気がします。
その匂いは、良い意味での”下品さ”と言い換えても良い、私の皮膚にまとわりつき、しみ通ってくる「何か」なのです。
私はこの感覚が好きなので、インドネシアが、タイが好きになり、ウチナー、ヤイマからも、もう逃れられなくなってしまっています。
この嗜好は世の「沖縄病」患者の多くの人と(たぶん)同じではないでしょうか。
別のことばを使えば、人間の得体の知れなさ、自然の不気味さ、にも通じる、かなり本能に訴える「何か」なのです。
その「何か」が、中江作品には希薄なように思われます。

これは作品の欠点ではなく、中江監督の沖縄への対峙の仕方それ自体がこうである、ということなのでしょう。
中江監督はきっと上品な方なのです。

 ただ、四作品の中では、この「何か」が色濃く漂う作品もありました。『ナビィの恋』です。
 思えば、平良とみさんという俳優が、その「何か」を醸し出し、提示してくれていたのでしょうか。
 今回の『恋しくて』の中では、その平良とみさんを除くと、シンガー与世山澄子さんの歌にだけ、かすかに感じましたこの感触を。

 中江監督の映画が好きです。
 しかし私は、中江監督の本作をきっかけに沖縄が好きになることはないでしょう。
 ま、もうとっくに好きになっているからよいのですが。

 



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Posted by gadogadojp at 10:00│Comments(0)映画
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