2018年04月20日

『浪人街 RONINGAI』

データ
『浪人街 RONINGAI』
評価:☆☆☆☆・・・・・・
年度:1990年
鑑賞:2018年BS/CSで再視聴。
監督:黒木和雄
監修:マキノ雅弘
俳優:原田芳雄(荒牧源内) 樋口可南子(お新) 石橋蓮司 杉田かおる 伊佐山ひろ子 絵沢萠子 
   夏川雪絵 中村たつ 紅萬子 藤崎卓也 天本英世 水島道太 中尾彬 佐藤慶 長門裕之 田中邦衛 
   勝新太郎
製作:日本
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『浪人街 RONINGAI』

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コメント

1928年に作られた名作映画の幾度目かのリメイクです。

絢爛豪華な男優陣、中でも中年原田芳雄さんの肉体美とかっこよさ、樋口可南子さんの目の覚めるような美しさ、リアルな大道具小道具、汗と埃の匂い、強きをくじく王道のストーリー、空前絶後のクライマックス、、、
なのにどうにも鑑賞後のカタルシスが得られない。
残念です。

舞台は江戸時代の江戸の町。旗本たちの一部が悪逆非道の数々。色々あって、堪忍袋の緒が切れた浪人たちが旗本たちに戦いを挑むというお話。これで面白くないわけがないのですが。

そうそう、ストーリーと関係なさそうな配役の長門裕之さんの演技が出色でしたので備忘まで。


『浪人街 RONINGAI』




批評

好演迷演の一々を書きたい気持ちは抑えて
どうしても言いたいことだけを書きます。

一つ目。
野暮を承知で言いますが、
浪人たちは、夜鷹(最下級の街娼)が一人また一人と殺された時点で立ち上がるべきでした。
元締め(居酒屋店主)が殺され、お新が拉致されてからようやく刃向かうのは、命の軽重を忖度しすぎていて不愉快です。
1928年ではその設定は許されたのでしょう。
しかし1990年にリメイクするなら、大胆な構成変更があってもよかったと考えます。
ジャーナリストではなくキャバ嬢だから、記者ではなく水商売だからとデタラメを匂わせて強姦やセクハラを被害者のせいにする昨今の風潮は、日本社会の底からわいている腐臭ですから。

二つ目。
勝新太郎さん演じる赤牛弥五右衛門の人物像があまりにも薄っぺらく、映画全体の印象をうんと下げました。
赤牛は居酒屋が抱える夜鷹たちの用心棒を担っているのですが、
不満を持った客をつまみ出すのではなく、その客に自分を殴らせ、不満を解消させるという手段で小銭を稼いでいます。
卑屈で強者に媚びながら屈折し、生きる意味を見失った浪人という設定なのでしょう。
そうでなければこの映画は面白くならないのです。
そうでなければこの作品は完結しないのです。
ところが、その殴らせる場面は文字通り藪の中で行われ、観客には見せてくれません。
ちょっと出血して現れるだけ。
いきなりのそのシーンで私は白けてしまったのです。
案の定、その後の登場場面でも、役者勝新太郎は配役になりきらず、
赤牛の複雑な人格が見えません。
ラストシーンではますます白けるというか理解不能な死に方をします。
(伏線場面はあるにはあるのですが、わざとらしくて説得力がありません。)
若い頃の勝新太郎さんは、汚れ役もかっこいい役もこなしていましたから、
このように作品の質を大幅に下げるような演技しか見せないことが、
繰り返しになりますが、残念です。

勝さんのプライドだったのですか。
それともそういう演出だったのですか。



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Posted by gadogadojp at 10:00│Comments(0)映画
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