『Undo』:ちゃんと縛ってよ
データ
『Undo』アンドゥー
評価:
☆☆☆☆☆☆・・・・
年度:1994年
鑑賞:2020年BS/CSで視聴。
監督:岩井俊二
脚本:岩井俊二
撮影:篠田昇
俳優:山口智子 豊川悦司 田口トモロヲ
製作国:日本
kinenoteの情報ページはこちら
コメント、批評
公開時、監督が31歳、山口智子さんが30歳、豊川悦司さんが32歳という、同世代で作り上げた自己陶酔中編映画。
それでも「岩井俊二だあ」と妻は言います。
『着信アリ!』や『死国』より怖いとも言いました。
ほんとうにその通り、この美意識と怖さはただものではない感。
山口さんと豊川さんが迫真の演技で共に超絶綺麗。
この作品好きですよ、私。
『Love Letter』などではわかりにくい岩井監督の隠し持つカラタチの棘に刺されて血が滲む。井上陽水か。
「待ってるを縛ってる」・・・うん、愛の姿の一つだから。
市川崑監督リスペクトの岩井監督だけれど、なんだか今日は篠田正浩監督作品を思い出してしまいました。といいますか、『心中天網島』(1969)からの連想ですな。つまりは文楽を思い出したということかもしれません。なぜかはわかりません。
縛るという行為は、結界を張って閉じ込めるのだろうか、それとも永遠を願う呪なのだろうか。それともほどけるために縛るのだろうか。団鬼六さん原作の映画ではシンプルにMの世界だったと思うのだけれど。
1994年の時点で私は岩井俊二監督も本作も知りませんでした。けれど若い人たちの間には熱狂的ファンが生まれたと聞きました。その方たちの間でなんでも縛ってみよう遊びが流行らなかったのだろうか。本作では「泡を縛る」「二人の愛を縛る」の場面がホラーでしたが、「親の小言を縛る」「漢字を縛り平仮名をほどく」なんて遊んだ方がいるように思うなあ。
関連記事