『レ・ミゼラブル』(2012):最後まで見届けたミュージカル
データ
『レ・ミゼラブル』Les Misérables
評価:
☆☆☆☆☆・・・・・
年度:2012年
鑑賞:2020年BS/CSで視聴。
監督:トム・フーパー
原作:ヴィクトル・ユーゴー
音楽:クロード・ミシェル・シェーンベルク
俳優:ヒュー・ジャックマン ラッセル・クロウ アン・ハサウェイ アマンダ・セイフライド
エディ・レッドメイン サマンサ・バークス ヘレナ・ボナム=カーター サシャ・バロン・コーエン
アーロン・トゥヴェイト ダニエル・ハトルストーン
製作国:イギリス映画
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ヘレナ・ボナム・カーターさん:出典:
https://www.cinemacafe.net
コメント
19世紀のフランスの場末感あふれるリアルっぽい画面(good)を背景に、クローズアップを多用した歌唱シーンが印象に残るミュージカル映画。舞台の佳曲を使っています。
まったく個人的な好みで恐縮ですが、私がこれまできちんと最後まで見届けたミュージカル実写映画は、『ウエスト・サイド物語』と『シェルブールの雨傘』、 『サウンド・オブ・ミュージック』だけかもしれません。すべて1960年代の映画ですね。音楽の素晴らしい映画たちでした。
(補足:あ、忘れていました。『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』は好きです。)
『マイ・フェア・レディ』など他にもいくつか見ましたが、どうも頭に入らなかったり楽しくなかったり・・・もともとオペラが苦手で、演劇やアニメでもミュージカルになると腰が引けてしまいます。ミュージカルが悪いのではなく、自分が頭が固く打ち解けない人柄であることが原因かなと思っていました。
とはいえ、大人計画の演劇ミュージカル『キレイ』はかなり好きなのです。とすると、やはりハードルを上げているのでしょう。ストーリーそのものが好みで、加えて音楽(踊り)が好みにならないと気に入らないということなのでしょう。
そういう私でしたが、本作『レ・ミゼラブル』は最後まで見届けてしまいました。しかもスクリーンでなくTV画面で。自分でも驚いています。その理由を少し考えました。
最初の歌「囚人の歌(Work Song)」と映像がつかみOK!でした。『ベン・ハー』へのオマージュ?と妻は言いました。
また、私が、ヴィクトル・ユーゴーの原作を少年少女読本『あゝ無情』や翻訳小説『臆無情』で読んで馴染んでいた世代だったせいかもしれません。これでもかと主役たちが難儀を受ける『おしん』のような物語だから目が離せなくなったのかもしれません。(もちろん本作は原作をうんと簡略に脚色しています。例えば主人公バルジャンは映画中では一回しか投獄されていません。)
それに加えて、役者たちが歌唱するときの非常に真剣な表情に引き込まれた面もあります。ですから途中で挫折したくてもできなかったという消極的な側面もあったかもしれませんが、良い映画の条件の一つは満たしているということでもあります。
そんなことを考えながら鑑賞していると、妻が大切なことを思い出させてくれました。それは、本作では役者がアフレコではなく演技と同時に歌っているということです。そのことは公開中に評判になっていましたよね。この真剣さが私に伝わったのかもしれません。本作の最大の意義はそこかもしれません。
演技陣は演技と歌唱を真剣かつソツもなくこなしていました。
「こなしている」とは私の場合、褒め言葉ではありません。
そんな中、指摘したいことが四点あります。これを書いて本稿を終えます。
1)ラッセル・クロウ さん、傑作『L.A.コンフィデンシャル』の時のハングリー感が少しだけ戻りました。嬉しい。歌も良かった。しかしなぜ自殺させる?ストーリーに説得力がない。
2)コゼットとマリウスはもう少し魅力的に描いて欲しかった。特にマリウス。革命に燃える若者はもう少し知的でしょう。
3)エポニーヌ役のサマンサ・バークスさん、歌声も芝居もとても良かった。心情が響いてきました。
4)贔屓役者のヘレナ・ボナム=カーターさん、軽妙なのにリアル。いつもながらほんとうにお見事です。
2012 UNIVERSAL STUDIOS. All Rights Reserved.
補足
どなたか、こういう歌をご存知ないですか。(歌詞は間違いがあると思います。)
おそらく昭和三十年代のラジオ番組(TVで言うと「みんなのうた」的な)で流れた曲ですが、とても印象に残っていますから、題名など教えてくだされば幸いです。
風吹く夜更けに一人とぼとぼ光を求めジャンバルジャンはどこへ行く ミリエル牧師に諭されて、、、
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